令和7年度の主な取り組みから説明いたします。
新年度から組織の再編により、保育課がスタートします。子供たちは町の宝である訳ですが、一方では少子化という現実を踏まえ、将来を見据えた保育園のあり方や南小国町らしい保育プログラムの検討など、これまでより一歩踏み込んだ保育行政への議論を進めていきたいと思います。
全国的にも、様々な社会インフラ施設の老朽化が問題となっておりますが、本町においても、水道施設や道路・橋梁、公共施設など、更新の時期を迎えているものも多くみられます。水道や道路、橋梁といった施設に関しては、将来を見据えた計画を基に、事業を進めていきたいと思います。また、公共施設に関しては、関係者との協議をおこないながら、更新していくのか否か、または民間への事業譲渡など、幅広い選択肢をもって判断していきたいと考えております。
現在のところ、旧グループホーム森園に関しては、多世代が交流する場としての活用を考えており、一定の方向性は見いだせております。一方で、JA跡地の利活用に関しては、これから実施する2回目のアンケート結果や中学生とのみらい会議における意見などを参考に、委員の皆様との協議を進め来年度中には基本的な計画を作り上げたいと考えております。そこには、以前、市原地区の活性化にも携わっていただいた、現在、早稲田大学創造理工学部教授の田中智之先生を交え、今後の南小国町のまちづくりを俯瞰的に見た中でのJA跡地のあり方を、一緒に考えていきたいと思います。
また現在検討しております、今後の農業を考える会では、南小国町の農業が抱える課題の整理をおこない、人材確保、農地の維持管理、販売戦略といった3つの大きな課題が出てきました。今後はそれらをどこが担っていくのか、どのような事業として進めていくのか、林業活性化との兼ね合いなどを協議し、事業化していきたいと考えております。
先般、JTB総合研究所、主任研究員の山下さまから「持続可能な観光地域づくりにむけた観光財源のあり方について」ということで、お話を伺うことができました。これまで町内でも協議しておりました、入湯税といった法定目的税、また宿泊税などといった法定外目的税を、他自治体の事例などを用いてわかりやすくご説明いただきました。私としても、目的税の導入に関しては必要性を感じておりますので、来年度は有識者や関係団体などとの議論を進めて参ります。
以上、令和7年度の主な取り組みを説明させていただきました。
これからは、各課局における取組を説明いたします。
まず総務課関係です。
平成20年度から始まったふるさと納税の寄付額は、令和4年度が10億7,780万円、令和5年度が11億7,631万円の寄付があり、令和6年度は現在約11億5,000万円の寄附があり、令和7年度当初予算も10億円の寄付を見込んでおります。
ふるさと納税については、令和7年10月からの制度変更によりポイント制が廃止されることから、毎年12月に集中する寄付のピークが前倒しになると予想されます。本年度も制度の趣旨に沿った運用を継続しつつ、例年以上に市場および寄附者の動向に注視し各種イベント等での本町ふるさと納税の周知の強化を図っていく事で、寄附額の増加および関係人口の拡大を目指します。
防災については、台風、大雨等については事前に予報され、事前に対策することが可能ですが、地震については予測がつきません。
昨年は、石川能登半島地震が発生し、その後も豊後水道の地震、日向灘の地震など九州でも最大震度6弱を計測する大きな地震が発生しています。
南海トラフ地震の発生が危惧される中、本町においてもいつこのような災害が発生するかわかりません。
町としましては、令和6年度は災害時に避難所等で使用する簡易ベッド、簡易テントの配備、万が一断水した場合にも使用できる簡易トイレの備蓄の増加といった避難所の生活環境改善への取組みの他、防災マップの更新事業も行っているところです。
令和7年度におきましても、町の備蓄品や災害対策機器の強化は基より、各個人が必要とする非常持ち出し袋の準備や非常時用備蓄品の確保など、ケーブルテレビ等も活用しながら自助に関する意識の高揚を図ってまいります。
また、自主防災組織に対しても指定避難所の運営方法、備蓄品確保や避難行動要支援者に対する支援などの共助の部分について、総務課の防災士を中心に講話や訓練及び助言を行い、災害に対する自助共助の重要性について啓発を図ってまいります。
続いて、まちづくり課関係です。
本町にとって、人口減少、少子高齢化は大きな課題であり、そのなかで移住定住については、重要な施策のひとつです。
6年度に引き続き、移住定住支援コーディネーターによる、移住定住の情報発信や相談体制の充実、空家所有者への意向調査、空家の実態調査による実態把握、空家台帳の作成、並びに空家バンクの充実を図っていくとともに、空家バンクを通して、移住者向けに利活用される物件を対象とした補助事業等を実施して参ります。それとともに、福岡市をはじめとする東京、大阪の都市圏での移住定住相談会にも参加し、南小国町への移住定住に興味のある方の相談を受けており、その際、より効果が上がるように町の紹介動画や暮らしのエリアマップの作成を行ってまいります。
また、町が空家の耐震補強や水回り等の改修を行ったうえで10年間借り受け、移住定住用に賃貸住宅として利用する、移住定住促進空き家活用住宅を、2件貸出しを開始し、入居が決定しております。また6年度中に1件改修工事を実施中で、7年度中に1件改修工事を計画しており、可能な限り早期に利用できるよう取組みを進めて参ります。
併せて、供用開始した下杉田の移住者向け暮らし体験住宅も入居者が決定してきており、残りの住宅も相談を受けている状況です。移住定住の受け皿としては戸数が少なく十分とは言えませんが、空家活用や移住定住促進の一助となるよう一歩ずつ進めていきつつ、他の移住定住用住宅の整備についても検討を進めてまいります。
情報関連については、国の自治体デジタルトランスフォーメーション推進に伴う各種行政手続きのオンライン化や、多言語対応など窓口のスマート化、並びに総合行政、情報システムの標準化・共通化、文書の電子化等に対応するため、県のシステム共同運用への加入、利用や、総合行政システムや機器の更新、充実を図り、町民の利便性向上並びに行政業務の効率化に努めていきます。
広報営業プロジェクトチームに関しては、来年度も、東京や大阪、福岡等の都市部を中心に「南小国町」を売り込み、観光はもとより、関係人口の創出や、ふるさと納税、企業版ふるさと納税などにつなげていければと考えております。
あわせて、大阪万博への自治体ブース出展が決定しましたので、ブース制作から出展当日の対応など準備を進め、来場される国内外の方々に南小国町をしっかりと売り込みたいと思います。
次に建設課に関して、まず、道路関係ですが、国道442号の瀬ノ本から大分県境までの道路改築、国道212号の大観峰トンネルを考慮した日田阿蘇道路構想につきましては、関係自治体と協力しながら、国や熊本県などの関係機関への要望活動等を引続き、積極的に行ってまいります。
次に、町内の町道除草工事についてですが、主要な路線を町発注の維持工事として行っていますが、他の路線については地元自治会やボランティアを含む各種団体のご協力によって行われています。しかし、地元自治会等の人手不足や高齢化により継続が懸念される状況と考えます。
一方、町が行う除草工事には多額の費用を要し、今後、それらの路線数が増えていくことは財政の大きな負担につながります。昨年度、議会と協議をさせて頂きましたが、道路としての安全性や視距確保、南小国町の景観や通学路の安全性等を踏まえた「継続できる手段」を模索していきたいと考えます。
道路改良工事については、継続事業である町道瓜上矢田原線の早期完成を目指すほか、4路線の改良工事を行い、安全性の確保等に努めます。関係者のご理解とご協力をお願いいたします。
毎年、町道の橋梁について5年に1回の割当を行い、町内全ての点検を行っています。その点検結果を踏まえた老朽化等による補修や架替工事が必要です。本年度も1橋の補修工事を、補助事業等を活用し行いたいと考えます。
一方、町道として認定されている路線の見直しも必要と考えており、令和6年度より検討を進めておりますが、今後も路線ごとに利用状況や近接する道路の状況を踏まえ、また、ご利用の皆様へのご説明とご理解、ご協力を得ながら進めて行きます。なお、それらの同意を頂いた波居原地区の橋梁1橋を河川氾濫の抑制も含め撤去する工事を本年度実施したいと考えます。
そのほか、舗装の老朽化や必要な維持工事等が多くありますが、引続き、緊急性を踏まえ、早期整備の完了を目指します。
次に、簡易水道事業についてですが、去る2月8日から1週間程度続きました赤馬場・満願寺地区の「計画断水や節水のご協力」については多くの方にご迷惑をお掛けし、また、ご協力を頂いたことに深く感謝申し上げます。それらの原因や対応・対策については3月の広報誌に同封し、周知させて頂きます。今後、水道施設の基盤強化を可能な限り、早期に進めて行きたいと考えます。
令和4年度より進めています簡易水道事業の変更の認可を本年取得予定ですが、令和5年度より実施しています赤馬場地区の新たな水源について、水質検査、揚水試験の結果を踏まえ「飲料水に適した水源」と判断される見込みです。
令和7年度には、それら水源の整備、配水池への送水管の整備を国の補助事業も活用し進めて行きます。
そのほか、令和8年度以降、多くの設備や管路等の更新が必要と考えており、多額の事業費が必要となります。それに伴い、水道料金についても議会と協議や検討の場を設けさせて頂きながら、それらの状況等を随時、水道契約者様に周知させて頂きたいと考えております。
ご承知のとおり、近年、日本全国において水道管や下水道管の破損等による事故が多発しています。本町においても道路や河川等を含め、ライフラインの老朽化等への対策は必要不可欠であり、計画的な点検や実施が必要と考えています。
次に、教育関係につきましては、南小国町教育大綱を基本としながら、子どもたちの「確かな学力、豊かな心、健やかな体」の育成、家庭教育の推進に取り組むとともに、家庭教育支援の充実、生涯学習の振興、地域学校協働活動の推進により、学校教育並びに社会教育の充実に努めていきたいと考えております。
まず、学校教育関係では、「きよらの郷づくりは人づくりから」という合い言葉のもと、「第4期南小国町総合計画」「南小国町共有ビジョン」の実現に向けて南小国町の未来の創り手を育む教育の充実を目指していきます。また、「きよらの郷の人づくり教育プラン」では、キャリア教育の視点を踏まえ、子どもたち1人1人がチャレンジする教育を通して、南小国町の未来の創り手となるために必要な資質・能力である4つのC『コミュニケーション、コラボレーション、クリエイティビティ、クリティカル・シンキング』の育成に向けて取り組んでいるところです。
その育成の場面は「きよら授業の改善」と「きよら学の推進」の2本柱となります。
1つ目の柱である「きよら授業の改善」では、「熊本の学び」を基本とした授業づくりや4Cを育成するための横断的な授業づくりなど、日々の授業改善・向上に努めようとするものです。令和6年度は、ペッパー君を導入しての「プログラミング的思考力」の向上や、情報活用能力の育成に取り組みました。今後も引き続きデジタル技術やロボットを活用することで、教育手法の改善や教職員の事務の効率化にもチャレンジしていきたいと考えています。
2つ目の柱である「きよら学の推進」では、南小国町独自の学習として、地域に目を向け、地域の方々や行政等と連携してチャレンジする力を培う学習を進めているところです。里山自然体験活動や民泊農業体験、まちインターンや出前授業、プレゼンテーション大会、きよら仕事図鑑の作成など未来の創り手を育成する貴重な学習の機会として取り組んでいます。
また、これらの取り組みには、児童生徒、家庭、地域、学校、行政の五者の連携が重要となります。今後も五者が連携し、一体となって推進するとともに、これらの取り組みが、幅広く町民の皆様にもお届けできるよう、広報等にも力を入れて進めていきたいと考えています。
続いて、学校ICT環境につきましては、国が掲げるGIGAスクール構想の実現のため、令和2年度に導入した一人一台端末が5年を経過することに伴い、機器更新を予定しております。
また、学校教育の中でICTをより活用しやすいようICT支援員を配置しながら、教職員が積極的に活用できる環境や体制づくり、教育DXにも取り組んで参ります。
社会教育関係では、社会教育と学校教育が連携した取り組みとして、地域を担う子どもたちの育成を地域が協力、連携、支援する仕組みを構築するため地域学校協働活動推進員が中心となり、関係機関と協働した活動に取り組んで参ります。
現在、地域の方々の協力により取り組みを行っている、放課後子ども教室の活動を継続し、引き続き放課後の子どもたちの豊かな体験と居場所確保に努めてまいります。
また、今年度再開した「公設きよら塾」では、現在、小学5・6年生を対象に英語、国語、算数の学習を週2回実施しています。今後も、関係機関と連携し、基礎学力の定着に向けた取り組みとして継続して参りたいと考えています。
併せて、夢の実現に向けて国内外でチャレンジする児童・生徒への新たな支援を検討しており、未来を担う子どもたちが郷土に誇りを持ちつつ、グローバルな視野で社会に目を向ける人財の育成につなげていきたいと思っています。
社会体育の面では、「わくわくクラブ」の中のスポーツクラブへの支援を継続し、子どもたちの成長に応じた適正な指導により体力、運動能力の維持増進を図って参ります。
また、一般の方に向けても、登山やウォーキングなど以前から取り組んでいるものに加え、新たな取り組みとして実施しているスポーツトーナメント「MOST」を引き続き実施し、子どもから大人まで楽しめるスポーツイベントの普及推進や、介護予防や健康寿命を延ばす健康増進にむけた取り組みをスポーツ協会及びスポーツ推進委員とともに推進して参ります。
今後も学校教育と社会教育の両面において「きよらの郷づくり」を基本理念とした、町民主体となった生きがいと誇りのもてる豊かなまちづくりを目指し、教育委員会と連携して取組んで参ります。
次に税務課関係ですが、
地籍調査事業につきましては、令和6年度末時点における一筆地調査の進捗率は85.1%となっております。令和7年度は大字満願寺の瀬の本、米ノ尾、山鳥川地区を調査する計画です。今後も土地所有者ならびに地元の皆様のご協力を仰ぎながら、早期完了へ向け取り組んでまいります。
自主財源の根幹であります町税につきましては、「適正かつ公平な課税と徴収」を基本とし、税以外の各種保険料や使用料など、関係各課との連携による収納事務の効率化を図るほか、熊本県や阿蘇管内市町村との協定に基づく徴収対策を行い徴収率の向上を目指します。
また滞納整理につきましては、引き続き実態調査による預金や財産等の差押えを進めていく一方で、収入の減少などで納税が困難な方に対しては、実情に応じて納期の猶予や分納など柔軟に対応してまいります。
町税や使用料などの納付の利便性向上を目的とし、令和5年4月にコンビニ収納システムを導入しました。これは、多様な生活スタイルに応じた収納環境を提供することが可能になり、役場窓口や各金融機関に出向く手間や、営業時間に左右されることなく、コンビニエンスストアやご自身のスマートフォンにより納付することができるようになりました。このコンビニ収納による納付については、金額・件数ともに順調に伸びております。
最後に、入湯税に関してですが、これまで役場内での議論をおこなってまいりましたが、昨今全国的に導入が検討されております「宿泊税」に関しましても、同様に議論すべきと考えます。令和7年度は、有識者や関係団体等と、先進地域の事例や「入湯税」「宿泊税」のあり方、その使い道などの意見交換を進めていきたいと考えております。
次に、農林課関係です。
農業については、依然として続く肥料や飼料等生産資材の高騰や気候変動による生産の不安定化、病害虫の流行、その一方でさらに深刻化する後継者問題や就農者の減少、遊休農地の増加、地域営農の継続に伴う負担の増加など、現在の農業、農村を取り巻く環境は未だに厳しい状況にあります。
農業は本町の基幹産業であり、本町の特性を活かせる産業です。国や県の補助金や、町独自の「農業担い手育成事業補助金」を活用し、農業者の持続的な農業経営や規模の拡大、発展に向けた取り組みを支援してまいります。きよらカァサや地域団体、生産者の皆さまとも連携しながら、農産物販売の促進を図ってまいります。
また、新規就農者の確保に向けては、国の就農支援施策を活用した初期費用の支援や生産基盤の強化を図るとともに、まちづくり課と共に移住定住に向けた取り組みを行いながら、地域やJAをはじめとした関係団体と連携して、人材の確保から育成まで、継続した支援に取り組んでまいります。
次に3月中に、本町の地域計画を策定できるよう現在進めているところです。令和6年度は、農業委員会や集落支援員、協力隊が、中山間地区での集会等に訪問し、5年後の農地を見据えた「目標地図」の作成を行ってまいりました。
この地図は、一度作成して終わるものではなく、継続して集落の農地をどのように活用していくのか話し合うための土台となる地図となります。それぞれの集落の農地の現状を具体的に視える化し、新たな作物による実証実験や省力化機械の導入の検討などに取り組んでまいります。
今後維持が難しくなる農地をどのように活用していくのか、皆さまとともに検討してまいりたいと考えております。
次に、畜産振興についてですが、
飼料価格の高止まり、物価や原油価格の高騰と、厳しい状況が続く中、子牛価格の下落がつづいており、畜産経営にとって大変厳しい状況にあります。
さらには、本町の畜産業の核となる草原についても、飼養頭数及び畜産農家の減少、牧野組合員の減少、担い手の高齢化等、草原の維持に係る活動に課題が山積しております。
阿蘇郡市で連携し、「世界農業遺産」を活用したPRを行いながら、更なる認知度向上や販路の拡大に向け取り組んでまいります。
また、引き続き、素牛の導入や精液の補助による優良牛の育成、国や県の補助事業を活用した施設等の整備のほか、近年の厳しい農業情勢に対応した支援を行い、畜産農家の経営基盤強化を図ります。
令和6年度には、小国町、JAとともに立ち上げた「小国郷獣医療体制整備推進協議会」において実施したインターンシップ事業に、1名の参加がありました。今後も引き続きインターンシップを行いながら、同時に獣医師の雇用体制などについて検討を進めていきたいと考えます。
畜産業者の皆さまが安心して営農を行えるよう、獣医師不足の課題に、両町とJA、関係者の皆さまと協議を重ねながら解決策を図ってまいります。
また、町内において家畜伝染病を発生させないよう、防疫意識の啓発を図り、県や農業団体等と連携した家畜防疫態勢の整備に努めます。
最後に、林業振興についてですが、
本町の面積の約40%を占める小国杉の人工林は、戦後の大造林期を経てその多くが伐採適齢期を迎えています。しかし、一人親方などの林業従事者の高齢化などが進み、今後半数の方が5年以内に引退を考えておられるなど、後継者育成が喫緊の課題となっております。
また、近年激甚化する災害などを鑑みても、山林の適切な伐採や植林及び管理など、山林所有者の方々の協力を得ながら重点的に取り組む必要があります。
これらの課題解決に向けて、本町では担い手育成及び山林管理の手法の一つとして「自伐型林業」の普及を進めております。地域おこし協力隊制度を活用しながら新しい人材の流入と技術継承、災害の起こりにくい山林づくりに繋げてまいります。
また、いざ災害が起きてしまった場合の仮設住宅としての利用及び地産木材の活用を目的とする「モバイル建築」による施設整備に取り組みます。小国杉製材の地域内利用、また有事の備えとして活用の幅が期待できる新規事業として展開してまいります。
令和6年2月には本町が農林水産省を含む関係7府省が共同で選定する「バイオマス産業都市」に認定されました。このことを受け、今後ともバイオマスエネルギーを活用した地域内で自活できる再生可能エネルギーの普及促進に努めてまいります。
有害鳥獣による農林業への被害は、町民の方々の心がけやご尽力により対策は飛躍的に向上しておりますが、依然大きな影響を受け続けております。令和6年度に実施しました「えづけSTOP対策事業」の集落毎の地域点検等を新年度以降も継続し、地域住民の自助、共助による対策をより強化することで、有害鳥獣を寄せ付けない地域づくりを目指します。
次に福祉課関係です。
子ども・子育て関連事業といたしましては、令和7年度からの5年間を計画年度とする第3期子ども・子育て支援事業計画が策定され、更なる子育て支援の充実に向けた施策の展開を進めていけるよう努めてまいります。主な取り組みとして、令和7年度から役場の組織改編により保育課を新設いたします。全国的に少子化が進むなか、将来を見据えた安定的な保育園運営を確保するため、保育現場と行政とが連携をより一層深め、保育の充実に取り組んでまいります。
地域福祉関連事業といたしましては、包括的な相談支援体制の整備を目的とした重層的支援体制整備事業への移行準備事業に取り組みます。町民の抱える複雑化・複合化した困難課題への効果的な対策を講じるため、関係機関との連携を強化し、孤独・孤立することのないよう支援に努めます。また、介護施設として整備を予定していた旧グループホーム森園については、総合計画における町民アンケート結果のニーズ等を踏まえ、子どもから高齢者まで幅広い世代が交流活動の拠点として活用できる多世代交流施設として整備を進めてまいります。
高齢者関連事業といたしましては、3年間を計画年度とする高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画が中間年度を迎えます。団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費の負担増や、人材不足が深刻化するといわれる2025年問題に直面しますが、地域包括ケアシステムをより推進させ、誰もが地域の中で健やかに安心して暮らせる社会づくりを目指してまいります。取組みの一つとして、在宅での寝たきり高齢者等を介護する家族に対して、介護用品を支給する家族介護用品支給事業の支給対象を、要介護3以上に拡充し、ご家族の精神的、経済的負担の軽減を図ります。また、その他の在宅福祉の向上に資することを目的に整備している、緊急通報システムや食事配達支援サービス等の各事業につきましても制度周知を徹底し、利用者の拡充を図ることで在宅での生活を支援してまいります。
最後に町民課関係です。
マイナンバーカードの交付率は、令和7年1月31日時点で90%を超えました。健康保険証も令和6年12月2日でマイナンバーカード保険証へと切り替わり、現在移行期間中になります。令和7年度は、新たに戸籍へのふりがな記載が予定されており、今後更にデジタル化が進んでいくと考えられます。その中で、デジタル化を活用し、便利で利用し易い窓口の実現に取り組むと同時に、混乱の無いよう、新しい情報に関しての細やかな周知と対応を目指していきます。
保健衛生面につきましては、乳幼児から高齢者までの健康診査と健診後の保健指導を行い、保健師、管理栄養士、看護師が地域包括支援センターと連携して重症化の予防に努めます。
令和6年度から、稼働しているこども家庭センターにおきましては、引き続き妊娠中から出産・子育てに関する悩みや不安の相談窓口として、対象者に寄り添いながら伴走型支援を行っていきます。
環境衛生面につきましては、阿蘇広域行政事務組合と一緒に、一般廃棄物処理計画を作成し、計画に沿って事業を進めています。
令和7年3月27日に、阿蘇郡市1市3町2村とサントリーグループでのペットボトル水平リサイクル「ボトルtoボトル」協定式が予定されています。地球温暖化防止対策をふまえ、令和7年度は、エコやリサイクルに関しても、積極的な周知を考えております。
以上、令和7年度にむけた施政方針を述べさせていただきました。
不安定な世界情勢、止まらない原油価格や物価などの高騰、激甚化・多発化している自然災害、老朽化が進むインフラ施設や公共施設の再編や整備など、課題はございますが、一歩ずつ着実に改善に向けた歩みを進めていきたいと思います。
このような困難な時代だからこそ、私たちは果敢に挑戦し、「南小国だからできること」「南小国じゃなければできないこと」を生み出していくことこそが必要であると考えますので、皆様方のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。